○相良村認知症初期集中支援事業実施要綱
平成29年8月1日
告示第32号
(趣旨)
第1条 この要綱は、介護保険法(平成9年法律第123号)第115条の45第2項第6号に基づく認知症総合支援事業における認知症初期集中支援推進事業(以下「事業」という。)について定めるものとする。
(目的)
第2条 この事業は、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるために、認知症の人やその家族に早期にかかわる認知症初期集中支援チーム(以下「支援チーム」という。)を配置し、早期診断・早期対応に向けた支援体制の構築を目的とする。
(実施主体)
第3条 この事業の実施主体は、相良村とする。
(支援チームの設置)
第4条 支援チームは、相良村地域包括支援センターに配置する。
(支援チームの役割)
第5条 支援チームは認知症に係る専門的な知識・技能を有する医師の指導の下、複数の専門職が家族の訴え等により認知症が疑われる人や認知症の人(以下「訪問支援対象者」という。)及びその家族を訪問、観察、評価、家族支援などの初期支援を包括的、集中的に行い、自立生活へのサポートを行うものとする。
2 地域包括支援センター職員や村保健師、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、認知症サポート医、認知症に係る専門的な知識・技能を有する医師、認知症疾患医療センター職員、介護事業者との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保する。
(認知症初期集中支援チーム員の構成)
第6条 認知症初期集中支援チーム員(以下「チーム員」という。)は、専門職2名以上と、専門医1名の計3名以上で編成する。
(1) 専門職とは、次のいずれにも該当する者とする。
ア 「保健師、看護師、准看護師、作業療法士、歯科衛生士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士」等の医療保健福祉に関する国家資格を有する者
イ 認知症ケアや在宅ケアの実務・相談業務等に3年以上携わった経験がある者
ウ 国が定める「認知症初期集中支援チーム員研修」を受講し、必要な知識及び技能を修得した者とする。ただし、やむを得ない場合には、国の定める研修を受講したチーム員が受講内容をチーム内で共有することを条件として、同研修を受講していないチーム員の事業参加も可能とする。
(2) 専門医とは、次のいずれかに該当する者とする。
ア 日本老年精神医学会、又は日本認知症学会の定める専門医であって、認知症サポート医である者
イ 認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした臨床経験を5年以上有する者であって、認知症サポート医である者
ウ 認知症サポート医であって、認知症疾患の診断・治療に5年以上従事した経験を有する者(ただし、認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている場合に限る。)
(チーム員の役割)
第7条 医療保健福祉の専門職は、訪問支援対象者の認知症の包括的観察・評価に基づき初期集中支援を行うために訪問活動等を行う。
2 専門医は、他のチーム員をバックアップし、認知症に関して専門的見識から指導・助言等を行う。また、必要に応じてチーム員とともに訪問し、相談に応じる。
3 訪問する場合のチーム員数は初回の観察・評価の訪問は原則として、医療系職員と介護系職員それぞれ1名以上の計2名以上で訪問することとする。
(認知症初期集中支援チーム検討委員会の設置等)
第8条 医療・保健・福祉に携わる関係者等から構成される「認知症初期集中支援チーム検討委員会」(以下「検討委員会」という。)を設置する。
2 検討委員会の委員は、相良村地域包括支援センター運営協議会の委員をもって充てる。
3 検討委員会は、関係機関・団体と一体的に当該事業を推進していくための合意が得られる場となるように努める。また、支援チームと医療関係者との連携を図るため、認知症疾患医療センターや地元医師会との事前協議や主治医(かかりつけ医)に対する連絡票など情報の共有化に向けたツールの作成やそれを用いた地域の連携システムの構築を図る。
(訪問支援対象者の範囲)
第9条 訪問支援対象者は、原則として40歳以上で在宅生活をしており、かつ認知症が疑われる人、又は認知症の人で以下のいずれかに該当する者とする。
(1) 医療サービス、介護サービスを受けていない者、又は中断している者で以下のいずれかに該当する者
ア 認知症疾患の臨床診断を受けていない者
イ 継続的な医療サービスを受けていない者
ウ 適切な介護サービスに結びついていない者
エ 介護サービスが中断している者
(2) 医療サービス、介護サービスを受けているが、認知症の行動・心理症状が顕著なため対応に苦慮している者
(事業内容)
第10条 事業の実施内容は、以下の(1)から(3)についていずれも実施する。
(1) 支援チームに関する普及啓発
地域住民や関係機関・団体に対し、支援チームの役割や機能について広報活動や協力依頼を行うなど、各地域の実情に応じた取り組みを行う。
(2) 認知症初期集中支援の実施
ア 訪問支援対象者の把握
村及び地域包括支援センターは、本事業の訪問支援対象者の把握に努めるものとする。
イ 情報収集
訪問時には十分な情報を得るため家族等、あらかじめ協力の得られる人が同席できるように調整を行い、訪問支援対象者の現病歴、生活情報等に加え家族の状況などを情報収集する。また、信頼性・妥当性の検証がされた観察・評価票を用いて、認知症の包括的観察・評価を行う。
ウ 初回訪問の実施
初回訪問は概ね2時間以内とし、認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門的医療機関への受診や介護保険サービスの利用効果に関する説明、及び訪問支援対象者やその家族の心理的サポートや助言などを行う。
エ チーム員会議
初回訪問後に訪問支援対象者ごとに観察・評価内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、専門医も含めたチーム員会議を行う。必要に応じて、訪問支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、認知症疾患医療センター等、関係機関職員の参加も依頼する。
オ 初期集中支援の実施
支援チームは、医療機関への受診が必要な場合の訪問支援対象者への動機づけや継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨・誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境などの改善などの支援を行う。(訪問支援対象者が医療サービスや介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし、概ね最長で6ヶ月間)
カ 初期集中支援の終了とその後のモニタリング
初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、認知症疾患医療センター、地域包括支援センターの職員や担当介護支援専門員等と同行訪問を行う等の方法で円滑に引き継ぎを行う。また、チーム員会議において引継ぎの2ヶ月後にサービスの利用状況などを評価し、必要性を判断の上、随時モニタリングを行う。なお、訪問支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した書類は5年間保管しておく。
キ 情報共有
訪問支援対象者の情報を地域包括支援センター等の関係機関が把握した場合は、認知症初期集中支援チーム及び認知症疾患医療センターに情報を提供等して情報共有を図り、事業実施する。
(3) 認知症初期集中支援チーム検討会の実施
検討委員会において、支援チームの設置及び活動状況を検討する。
(秘密の保持)
第11条 事業に従事する者は、業務上知り得た個人に関する情報その他の秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(その他)
第12条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は村長が別に定める。
附則
この要綱は、平成29年8月1日から施行する。